「毎日水2リットルで痩せる」はウソ!?ホント!?正しい水分補給法を理解してキレイになろう!

「毎日水2リットルで痩せる」はウソ!?ホント!?正しい水分補給法を理解してキレイになろう!



「水をたくさん飲むと代謝が上がって痩せる」

「水を飲むほど、お肌がキレイきれいになる」

そんな情報をよく目にします。


具体的には、


「血液量が増加して血行がよくなり、代謝アップ・脂肪燃焼促進・肌の活性化につながる」

「水を摂った分お腹が膨らむため、食事の量を減らせる」

「体内の老廃物が押し流され、血液がサラサラになりデトックス効果をもたらす」


といった内容です。


確かに、代謝を回したり、肌のうるおいを保つには水分が必要ですが、たくさん飲めば飲むほど美容や健康によい訳ではありません。


「美容のために毎日2リットルの水を飲んでいる」という芸能人もよく目にしますが、残念ながら「水をたくさん飲むほど代謝が上がる、瘦せる」といった科学的根拠は見当たらないのです。


反対に水の飲み過ぎによって太りやすくなったり、腎臓に負担をかけて不調を招いたりするデメリットもあるので、正しい水分補給法をマスターして健康美を手に入れましょう。



今回は、


・水の働き

・水分不足と過剰摂取の身体への影響

・ついやってしまいがちな誤った水分補給方法

・最低限必要な水分量の計算方法

・正しい水分補給の方法


について、管理栄養士である筆者が順に解説していきます。

ぜひ、日々の健康作りにお役立てください。



水の働き


私たちの体内にある水分の割合は、健康な成人であれば約60%、高齢者では50%を占めています。重要な働きを担っており、水分補給をしなければ人間の命は数日間しか維持できません。

水は生命維持に不可欠な下記の3つに関わっています。


(1)体温調節

(2)栄養素・老廃物の運搬(血液・リンパ液・尿の材料になる)

(3)代謝(体内で起こるすべての物理反応や化学反応)


そのため、水分が不足するとあらゆる悪影響が起こります。

 

 

水分不足による美と健康への影響とは?


みなさんご存じの通り、水分不足は美と健康の大敵です。

「肌の乾燥」「口臭」「腎機能の低下」だけでなく

体重の2%の水分を失うと、「のどの乾き」

3%の水分を失うと、「イライラ」「食欲不振」「ひどい疲れ」「皮膚の発赤」

5%の水分を失うと、「呼吸困難」「ふらつき」「言葉がはっきりしなくなる」「けいれん」

といった不調が起こります。

 

 

水分の摂り過ぎにも要注意!


前述したように確かに水分補給は大切です。しかし、たくさん水を飲めば飲むほど身体に良いわけではありません。

最悪の場合は、水を飲み過ぎて命を落とす危険性さえあるので、注意が必要です。なぜ、水を飲み過ぎると良くないのか、詳細を解説します。


電解質のバランスが崩れる

私たちの身体は、電解質(カリウムやカルシウムなど、水に溶かしたときに陽イオンと陰イオンに電離する物質)のバランスを一定に保ち、健康を維持しています。

しかし、体内に大量の水分が入ると腎臓で処理しきれずに、電解質バランスが崩れて「希釈性低ナトリウム血症」を招くのです。


【希釈性低ナトリウム血症の症状】

症状のレベル

症状

軽症

疲労感・だるさ・むくみ・頭痛・嘔吐 など

重症

脳浮腫によるけいれん・意識障害・錯乱・肺水腫 など

参照:質疑応答」/公益財団法人福岡県薬剤師会

 

 

太りやすくなる

水を飲み過ぎて脂肪が蓄えられる心配はありませんが、水の飲み過ぎが原因で太ってしまうケースがあります。

 

水太りする

「昨晩の焼肉を食べ過ぎて、今日は体重が2㎏も増えてしまった…」

そんな場合は、脂肪がついたのではなく、水太りか便秘が原因です。私たちの身体は、一度食べ過ぎたからといって1日や2日で脂肪として蓄えられることはありません。

顔や下半身などがむくんで太って見えたり、体重が増えたりするのです。

 

 

食べ過ぎの原因になる

食べ過ぎを防ぐには、「良く噛む」ことが大切です。咀嚼は満腹中枢を刺激して食欲を抑える作用があるため、間接的にダイエットをサポートします。

しかし、食事中に大量に水分を摂ると食べ物を水で流し込んでしまうため、咀嚼回数の減少に伴い食欲が満たされず食べ過ぎにつながるのです。

 

 

脂肪が燃えにくくなる

唾液に含まれる成長ホルモンは、脂肪燃焼促進や代謝をコントロールする働きがあります。

しかし、食事中に水分を摂ると咀嚼回数の減少に伴い唾液の分泌量も減るので、脂肪燃焼と代謝コントロールによるダイエットサポートの恩恵を受けられなくなるのです。

 

 

溜め込みやすい体質になる

食前や食事中に水分を摂ると、唾液や胃液に含まれる消化酵素が薄まります。すると、消化と吸収がスムーズに行われないので、溜め込み体質の原因となるのです。

 

 

今すぐやめてほしい!誤った水分補給法とは?

「水分は過不足なく摂ることが大切」だということがおわかりいただけたと思います。しかし、美と健康のためには量だけでなく、摂り方にも気をつけたいところです。

ついついやってしまいがちな、誤った水分補給法を2つご紹介します。

 

「コーヒーで水分補給」はNG

 

コーヒーに含まれるカフェインには利尿作用があり、一時はのどが潤ってもすぐに尿として排出されてしまうため、体内に水分が保持されません。

コーヒーだけでなくエナジードリンクといったカフェイン入り飲料は水分補給にならないので、注意しましょう。

水や麦茶といったカフェインレスの飲料で水分を補うことが大切です。

 

 

「水分補給は食事のみ(飲み物を飲まない)」はNG


「普段、水やお茶を飲まなくても平気」
「食事のときにスープも飲むし、果汁がたっぷりのフルーツも食べるから大丈夫」

そんな方は、水分不足の可能性が高いです。


健康を維持するには一定の水分量を保つ必要があるため、体外に排出される分と同等の水分補給をする必要があります。

私たちが一日に排出(損失)している水分量は、一日約2.5L。普通に生活しているだけでも、汗や尿・呼吸により水分を損失しているのです。


一方で、食事に含まれる水分はだいたい3食の合計で1L程度なので、補充が間に合いません。

たとえ3度の食事でスープを多めに飲んだとしても、いっぺんには体内に吸収できないので過剰分は体外に排出されてしまいます。

塩分やカロリー過多の原因にもなるので、食事だけでなくこまめな水分補給をしましょう。

 

 

自分に最低限必要な水分量の求め方は?



それでは、どれだけ水を飲めばよいのかを確認していきましょう。

生命維持のために最低限必要な水分量は、生活スタイルや年齢などにより異なりますが、簡易的な計算式により大まかな目安量を算出できます。

加齢とともに必要な水分量が減少するので、まずは年齢別の水分必要量を覚えておきましょう。

<年齢別必要水分量の目安>

・25~54歳:35ml/㎏/日

・55~64歳:30 ml/㎏/日

・65歳~ :25 ml/㎏/日


上記の目安量を用いて、自分に最低限必要な水分量を求める式を下記に示します。

【必要水分量の計算式】

体重(㎏)×年齢別必要水分量(ml/㎏/日)=必要水分量(ml/日)



例えば、40歳で50㎏の人の場合は、年齢別の必要水分量は35ml/㎏なので、

50㎏×35ml=1750ml/日となります。


ただし、1750mlをすべて飲み物で摂る必要はありません。

おもに下記の3つで補給していきます。

(1)食事に含まれる水分 約1000ml/日

(2)代謝水(代謝により体内で生まれる水分)約300ml/日

(3)飲水 約450ml/日


食事に含まれる水分量を約1000ml/日と仮定した場合、代謝水は約300ml/日とされているので、飲水からは約450ml補給すれば最低量は満たせることになります。

しかし、あくまで身体に最低限必要な量です。

健康的に過ごすには、もう少し水分量を増やす必要があるので、つぎは適切な水分補給の方法を確認していきましょう。


正しい水分補給の方法


水分を飲む量やタイミング、どのような飲料が望ましいのかについて詳しく解説していきます。

 


水分はどれくらい飲めばいいの?


「日本人の食事摂取基準(2020年版)」では、水分の目標量は定められていませんが、厚生労働省が後援する「健康のために水を飲もう講座」では大人は最低でも1日1.2Lの飲水が必要と示されています。

 

 

タイミングを決めてこまめに飲む

私たちの身体は一度に多くの水分を吸収できないため、こまめに水分補給するのが理想的です。

効率よく水分を体内に吸収させるには、一度にコップ1杯(150ml)程度がよいとされています。つまり、コップ1杯(150ml)程度を1日8回に分けて飲むのが理想的です。

年齢を重ねると、のどの乾きに鈍感になる傾向があるので、飲むタイミングを決めておきましょう。


<おすすめの水分補給のタイミング>

 

まず「朝昼夕の食事のとき」にコップ1杯の水やお茶を飲みましょう。

汗により水分を失いやすい「起床時」「入浴の前後」「寝る前」もしっかり水分を補います。

さらに、小腹が空く「午前10時」「午後3時」くらいのタイミングにも水分補給することで、1日8回合計1.2Lを達成できます。

 

 

「カフェイン入り飲料」「アルコール」は控えめに

カフェインやアルコールは利尿効果があり、飲んだ以上に水分が体外に排出されてしまうため、飲み過ぎは厳禁です。


カフェインの適量って?

カフェインに対する感受性は個人差が大きく、日本では適量や上限量を定めていません。

諸説ありますが、コーヒーなら一日2杯(カフェイン180㎎/300ml中)ほどであれば人体に悪影響をおよぼすリスクが少ないとされています。

(参考:「日常生活の中におけるカフェイン摂取ー作用機序と安全性評価」/東京福祉大学・大学院 栗原久)


【身近な飲料のカフェイン量】

飲料
カフェイン含有量(100mlあたり)
玉露
160mg
コーヒー
60mg
紅茶
30mg
エナジードリンク
32mg~300 mg
煎茶
20mg
ウーロン茶
20mg

出典:「食品中のカフェイン」/食品安全委員会


日本人の平均的なカフェイン摂取量は一日260㎎ほどとされており、日常的に飲むコーヒーとお茶からの摂取がほとんどです。

カフェインの摂り過ぎは、副腎疲労を招く原因にもなるので、カフェイン飲料をよく飲む方は水やカフェインレスの飲料も飲んで、脱水を防ぎましょう。


カフェインと副腎疲労の関係については、「コーヒーを5杯以上飲む人は「副腎疲労」になりやすい!?原因と対処法を管理栄養士が徹底解説」にて詳細を説明しています。興味のある方は、併せてご覧ください。

 

 

アルコールの適量って?


アルコールの適量についても押さえておきましょう。

厚生労働省は、「節度ある飲酒量=純アルコール1日平均20gほど」としています。


【純アルコール20g相当のお酒の量】

・ビール(5%) ロング缶1本(500ml)

・日本酒(15%) 1合(180ml)

・ウイスキー ダブル1杯(60ml)

・焼酎(25度) 0.6合(110ml)

・ワイン(14%) グラス2杯弱(180ml)

・チューハイ(5%) 缶1.5本(520ml)

参照:「正しい飲酒の基礎知識」/公益財団法人長寿科学振興財団


お酒を飲む場合は適量を意識して、水やカフェインレス飲料もお酒と同量程度を飲みましょう。

 

 

まとめ

水は私たちの身体の半分以上を占める重要な物質です。しかし、必要不可欠だからと言って飲み過ぎては身体に害になります。

激しい運動や暑い日に大量に汗をかく場合は、その分水分の必要量が増えますが、それほど汗をかかない生活であれば無理をして水をがぶ飲みする必要はありません。

水分の飲み過ぎが原因で、太りやすい体質や不調につながってしまう可能性もあるので、「無理をして水をたくさん飲んでいた」という方は、一度水分摂取の仕方を見つめ直すのがおすすめです。

「水やカフェインレス飲料をコップ1杯」「1日8回程度に分けて飲む」という目安を参考にして、美と健康を目指しましょう。

 


【執筆者】

 

 クオルセレクト 執筆担当:管理栄養士 emimi
(給食会社/病院/保育園等で給食/栄養管理職を経て、現在健康コラム/レシピ等執筆)

 

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